仕事のこともちょっと書こうかなと思ったんですけど、毎回一緒なので割愛します。食べて飲んで愉快に軽口たたいて、時々真面目に商談してきました。アヤメさん、ロンドンの重要アカウントは全て開いてるし、今季は英セルフリッジ百貨店のスペシャルオーダーもやってるし、END.にもズバーンといっとります。概ね堅調でーす。
昔は治安が悪くて危険なエリアとされていた東ロンドンですが、今はすっかりトレンディでクリーンな街になりました。と言っても、日本と比較すると相変わらず汚らしくて危険は危険ですけどね。そりゃあ、私の大好きな映画『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ(1998)』みたいな世界ではもはや無いですけど、基本はあんまり変わってません。週末の夜は、相変わらず道端で酔っぱらってバカ騒ぎしている人、マリファナの匂い、瓶が割れる音、パトカーのサイレン、小銭ほしがる物乞い、殆どおっぱい丸出しで洋服の意味がない格好のお姉ちゃんとか、そんなドジーさがデフォルトです。空き巣もスリもしょっちゅうみたいだし。日本と同じ調子で無防備にしてると普通に危ないですYO!
とは言え大きく変わったのは街のオシャレ感です。日本でも人気のCONRAN SHOPのコンラン卿がホテル・バウンダリーを東ロンドンにオープンさせたのはいつだっけな?2010年とかか?その辺りから徐々に開発されていきました。その直前の2009年にはメンズの店PRESENT LONDONが既にあったわけだから、創始者のエディはやっぱり先見の明があるんだなー。アヤメもその頃からの付き合いです。その後は状況諸々変わりましたが、今もなお商売が続いているのが奇跡というぐらいの曲者店。ちなみにアヤメさん、コンランショップも本国の本店チェルシーの店舗で取り扱いがあります。私が今までコンランで買い物した額を考えたら、しっかり売ってもらわないと。って、個人の買い物と商売はカンケー無いですけどもね。あはは。
巨大資本の元に街の開発が進むと、どうしてもインディペンデントな人達が居られなくなってしまいます。そいういう人達のチャーミングさが街に彩りを添えているんだけど、これも仕方ないんだね。家賃どんどん上がっているみたい。皆、移転だのクローズだの、そんな話ばっかでした。地主の人はそういう心配とは無縁なのですが、長く地元で商売している人達は、そういう地元の良さを失わないように今もスタイルを貫いていて、そんな姿にもじわっと胸打たれました。その場所を賃貸したら楽して儲けられるのにね。
コマーシャルストリートにある皆が集まるいつもの酒場はまさにそんな感じ。昔ながらのパブで、アッパーミドル以上の人達と労働者階級の入り口が分かれているような。今はそういう文化じゃないですけどね、でも私達はいつもローワークラス側で立ち飲みです。オーナーのサンドラは東にベースする皆のお母さん的存在なんです。ちなみにサンドラもアヤメユーザーよ。Trumanのオーナーファミリーの人とも滞在先の屋上プールやパブでよく会ったので少し話しましたが、やっぱそういうの危惧しているみたい。
そんな会話もあってか、私は今回、昔からある店ばかり行ってました。ブリックレーンのベーグルとかね、自分がまだ何もしていないでロンドンに住んでた頃から好きな場所。そこそこ粗い味で別に美味しくは無いんですけど、味覚や聴覚って、それ以上の感覚や気持ちと共にあるし、当時の自分に一瞬にして連れ戻してくれますよね。お客さん気分の滞在者だった何もしてない当時の自分と、今の自分が抱く気持ちは全然違って、何をしててもより大きな何かがこみ上げます。
変わりゆく街をずっと見ていて感じる物悲しさには無力ですしそういうもんだと受け入れますけど、東に集まってくる個性的な人々は昔と変わらないなと思いました。人が街を作ってるんだなー、ってホント思います。程度は違えど今も昔もけっこうデタラメです。この私が真面目過ぎてバカに見えるぐらいに。でも皆に共通してるのは個性的な人って自分が変な分、他者にも許容範囲がワイドです。良い部分と悪い部分は紙一重な事をよく分かってて、良いほうの部分を見てそれを自分にも取り入れようとするかの様です。
でも変人ばっかりだからそれなりに揉め事は絶えなくて、いっつも軽めの"意見交換"みたいな言い合いはありますけどね。最初は慣れなかったけど、今は気に入って時々参加してます。自分だけの生き方で突き進む愉快な人達との人間模様や人生模様が、なんとも人間らしくて楽しくて、そして愛らしい。きっと長くても80年ぐらいしか見られないわけだから、自分もここに何を刻むのかなー、なんて考えました。後々になって、あの時は満喫したなー、って思える瞬間がたくさんある人生だといいな。そんな風に生きたいものです。
またダラダラ書いちゃいました。笑いと謗りを交えて東の変人達の事でも書こうと思ったのに。つづく